IV本文参考資料

4放射能対策本部放射能調査および対策グループ中間報告の概要

 I 対策グループ中間報告書の概要
1 緊急対策の考え方
 核爆発実験後48時間を基点としてデータを検討し,外部被爆よりも内部被爆を優先させ,決定核種としてはヨウ素-131を,グループは乳幼児,食品としては天水および生牛乳をとりあげ,甲状腺の被爆が年間1.5レムを越えないことを目安とする。
2 対策発動のレベル
(1)フォールアウト(全β放射能)がおよそ2キュリー/平方キロメートルに達した時,天水および生牛乳中のヨウ素-131の測定を開始し,監視体制を強化する。
(2)ヨウ素-131の測定結果が,天水中3,000ピコキュリー/リットル,生牛乳中6,000ピコキュリー/リットルとなった時は対策を発動する。
(3)フォールアウトの降下量の地域差や,その影響が年令,食習慣によって異なることを考慮して,対策は地域別およびグループ別にとることを原則とする。
(4)考えられる対策としては
 イ 天水濾過後の飲用の指示
 ロ 生牛乳の使用を粉乳に切りかえ,またはその地域における牛乳の用途変更の指示等
 ハ 葉菜類の洗浄を十分行なうことの指示等
 II 調査グループ中間報告書の概要
1 調査体制強化の考え方
 中共における核爆発実験による放射能は,日本への到達時間が短かいこと,初期放射能強度が高いこと,影響の現れ方に地域性があること,放射能の降下の継続時間が比較的短かいことが特徴である。したがって調査体制についてもこれ等の特徴および前述の対策も考慮した上で体制を整備する。
 また,地上の調査に十分な準備の時間を与えるために,地表に降下する以前に放射性降下物の全貌を明らかにし,その量,影響する地域を推定することも大切である。
2 高空の放射能調査
(1)核爆発実験の情報を入手した場合ただちにジェット練習機等に簡易小型集じん器を装備し,放射能気塊の飛来を確認する。
(2)民間航空機にも測定機器を搭載し,必要とする航路上で迅速に放射能測定を行なう。
3 地上の放射能調査
 地上調査網の充実をはかるため,空間線量測定用のモニタリングポスト(全国13カ所)を設置し,環境放能水準の地上における全国的レベルを把握する。
4 分析センターの整備
 ヨウ素-131の迅速測定のため波高分析器を整備した分析センター(全国5カ所)を設ける。
 また,地域毎に対策が必要となる場合も予想されるので,46都道府県からも牛乳のサンプリングが出来るよう体制を組織することとする。


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