§7 放射線障害防止の研究

 放射線障害防止の研究は,科学技術庁放射線医学総合研究所(放医研),関係国立試験研究機関,大学等においてすすめられているが,最近は,海洋の放射能汚染防止に関する研究,人体に対する中性子線の影響についての研究,細胞のエネルギー代謝機構におよぼす放射線の影響,核燃料物質の加工過程における粉塵の肺沈着ならびにその対策等の研究が積極的に行なわれている。
 放医研では,放射線による人体の障害ならびにその予防,診断および治療に関する研究が行なわれている。
 また,放医研では,特別研究として,40年度からプルトニウムによる内部被曝に関する調査研究が5カ年計画により,さらに,41年度から放射線障害の回復に関する調査研究が3カ年計画により行なわれている。42年度においてはこれら特別研究がひきつづき行なわれた。
 大学その他の研究機関においては,日本学術会議放射線影響部会が中心となり,文部省科学研究費により放射性物質の環境における動向,放射線感受性,放射線の身体的,遺伝的影響,放射線障害の回復,放射線の防護等に関する研究がすすめられた。
 民間企業においても,原子力平和利用研究委託費(委託費)および研究費補助金(補助金)の交付を受けて,放射性廃棄物の処理,処分に関する研究をはじめ,原子炉事故等により放出される放射性ガスに対する個人用ダストサンプラー,防護服の研究ならびに放射性物質の海洋放出における挙動の研究等が行なわれた。


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