§2 基礎研究
3生物分野

生物分野では,遺伝学,生理学,医学,農学等に関し,生体の機能の研究,放射線の生物学的影響を解明する研究等が,41年度にひきつづき大学,国立試験研究機関等において行なわれた。
 遺伝学については,ショウジョウバエ,カイコ等を用いて,突然変異の誘発等についての研究,X線,中性子線等のRBE(生物学的効果比)の測定,染色体活動サイクル各期に対する放射線の障害および回復機構についての研究が放射線医学総合研究所(放医研),遺伝研等において行なわれた。
 生理学については,各種細胞の放射線感受性についての研究等がすすめられた。
 生化学については,酵素の機能発現に関する研究等が,分子生物学においては,デオキシリボ核酸(DNA)の構造に関する研究等がすすめられた。
 医学については,新抗結核薬の抗結核作用とその二重標識による生体内代謝の解析,高血圧の成因とその治療に関する研究,脳疾患の診断に関する研究,発がん機構の分子生物学的研究等が国立療養所,国立がんセンター等で行なわれた。
 放射線の生物学的影響についての研究は,メダカによる放射線障害の回復,放射線障害の防護剤および回復促進剤の研究をはじめ,培養細胞による放射線致死効果に関する研究,中枢神経系に対する放射線の影響に関する研究,被曝線量と悪性腫瘍およぴ白血病の誘発との相関関係についての研究等が大学,放医研等において行なわれた。
 農学については,穀物の貯蔵時における酵素効果,植物等の育種の研究,家畜疾病に対する生理学的,病理学的研究等が国立試験研究機関で行なわれた。


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