§2 基礎研究
2化学分野

化学分野については,放射線化学,放射化学,核化学,核燃料化学,化学工学,原子炉化学等に関し,幅広い基礎研究が41年度にひきつづき,大学,国公立試験研究機関,原研等において行なわれた。
 放射線化学については,水の放射線分解,原子炉においてケミカル・シムとして重要なホウ酸水溶液の放射線化学反応,また,ラジカル重合における重合速度あるいは生成高分子の分子量の線量率依存,高分子の物性の研究等が原研,大学,民間において行なわれた。
 放射化学,核化学,核燃料化学については,ホットアトムの反応,ウラニルイオンの物性,重水中のベリリウムイオンの加水分解,ウランおよびトリウムのセラミックの調製等の研究が原研,大学を中心に行なわれた。
 化学工学については,ウランその他の元素に関して電気泳動法における同位体効果,同位体の多孔性隔膜,イオン交換体あるいはクロマトグラフィーによる分離濃縮等の研究が原研,理研,大学等を中心に行なわれた。
 原子炉化学については,再処理廃ガス中のクリプトン,キセノンによる吸収剤の放射線損傷,その他各種核分裂生成物の挙動等に関する研究が原研を中心に行なわれた。
 核燃料関係については,プルトニウム-ウラン混合酸化物燃料の国産化に対応した研究,ウラン,トリウムおよびこれらの酸化物,炭化物,窒化物等に関する物性研究等が原研等で行なわれた。被覆材に関しては,原子炉炉心の高温化に対応して,ジルコニウム合金の改良,ベリリウム,ニオブ,バナジウム等の新材料の研究等が行なわれた。
 また,再処理については,湿式法再処理におけるウラン,プルトニウムの抽出試験,再処理廃液の処理,チャコールフィルタの除染性能等に関する研究が原研,動力炉・核燃料開発事業団を中心に行なわれた。


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