§1 研究施設の整備

 原子力開発利用における基礎研究は,関連する分野が広く,しかも,大規模な研究施設を必要とするものが多い。このため,昭和42年度においても日本原子力研究所(原研)をはじめ,大学,国立試験研究機関等において,各種研究施設の整備がはかられた。
 原研においては,プルトニウム研究棟およびリニア・アクセラレーター建屋がそれぞれ増築され,プルトニウムの基礎研究,原子核物理の研究を行なうための施設の整備がすすめられたほか,照射後試験用ホットラボの建設が着手された。また,現在建設中の材料試験炉に設置する燃料照射用のループの製作発注が行なわれた。
 理化学研究所(理研)では,サイクロトロンを使用し,放射線化学や放射線生物学の研究がすすめられているが,さらに広範な照射条件下での研究をすすめるため,42年度より1万キュリーのコバルト-60照射装置の建設が着手された。
 国立試験研究機関では,国立遺伝学研究所(遺伝研)の中性子照射装置が完成したほか,金属材料技術研究所の600トン溶接高温割れ試験装置,船舶技術研究所の大型上下動揺装置等研究施設の整備がそれぞれ行なわれた。
 大学では,東京工業大学のパンデグラフ型加速装置,名古屋大学の強放射能研究設備,京都大学の重イオン核物性実験装置および核燃料実験装置,大阪大学の原子動力実験装置等がそれぞれ設置された。


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