§2 定係港(付帯陸上施設)の建設

 原子力第1船には,核燃料の交換,使用済燃料および放射性廃棄物の保管等を行なうための燃料交換設備,貯蔵設備,動力設備,放射線監視設備等の付帯陸上施設が必要であり,これらは,原子力第1船原子炉の設置許可にあたって,原子力第1船とともに,その安全審査を受けることとなっている。
 このため,原船事業団は,原子力第1船建造のための準備と並行して,附近海域における操船が容易であり,航行援助施設が整備されていること,定係港岸壁における水深が8メートル以上あること,出入口に暗礁がなく,狭水道でないこと,市街地からの距離が十分にあり,安全が確保されること等を条件として,定係港建設場所の選定をすすめ,約20ヵ所の臨港地区の調査を行なってきた。その結果,原船事業団は,横浜市根岸湾埋立ハ地区を候補地に選定し,その払い下げを41年8月,横浜市長に申請した。
 しかし,主として経済効果の観点から,横浜市長の同意が得られなかったため,原船事業団は,改めて他の地点について検討を行なった。その結果,天然の良港に臨み,定係港建設に適した青森県むつ市下北埠頭を候補地とすることとし,定係港建設場所の土地所有者である青森県,東北開発(株)等に対し,土地の譲渡を申し入れるとともに,青森県知事およびむつ市長に,定係港建設について協力を要請した。これに対し,42年11月,青森県知事およびむつ市長から,定係港建設に同意する旨の回答を得た。
 原船事業団は前述のとおり,42年11月,原子炉設置の許可が得られたので,原子力第1船の建造と並行して,定係港の建設の準備に入り,42年度末には,定係港建設用地の購入および岸壁の築造について,関係者との間の契約を完了した。
 今後,45年6月までに岸壁,クレーン等原子炉据付,ぎ装工事に必要な諸施設を完成し,さらに原子力第1船が完成する47年1月までに,燃料取扱い,廃棄物処理,放射線管理等の諸施設を建設する予定である。
 なお,本定係港は,原子力第2船以降の原子力船にも利用されうることとなっている。


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