§3 高速増殖炉および新型転換炉の開発
2新型転換炉

新型転換炉の開発については,すでに作成された原型炉の概念設計とその検討結果にもとづき,動燃事業団から第一次設計が原子力産業界に発注され,さらに第二次設計の準備がすすめられた。
 これと並行して,炉物理実験のための臨界実験装置の建設,また,熱除去実験のための熱ループの製作等がすすめられる一方,原型炉の安全性解析も着手された。

(1)原型炉の第一次設計

 動燃事業団では,41年度に動力炉開発臨時推進本部(推進本部)の指示により,原研が行なった原型炉の概念設計,およびその検討結果を考慮して原型炉の基本構想をとりまとめ,原型炉設計,プラント概要,ヒートバランス,全プラントの配置計画等について第一次設計を発注し,あわせてこの計画の実施に必要とされる諸事項に関し,調査を行なうこととした。
 第一次設計は,現在,原子力産業5グループの協同設計としてすすめられている。

(2)炉物理の研究

 炉物理の研究については,2領域の臨界実験を行ない,炉心核設計に関する定性的データを得るため,住友原子力工業(株)の軽水臨界実験装置の改造がすすめられ,また,定量的データを得るため,大型の臨界実験装置を建設することとし,原研からその概念設計が富士電機製造(株)に発注された。

(3)熱ループ実験

 新型転換炉の炉心の熱除去設計および大型熱ループ実験についての基礎的資料を得るため,既設の小型熱ループによる実験を行なう計画であり,原研では,目下,これらループの改造および試験用燃料の製作が行なわれている。

(4)安全性

 原研においては,推進本部の指示により原子力産業5グループが作成した概念設計をもとに,一次系破断時の蒸気放出のモデル化を行ない,事故時の諸現象の解析が行なわれた。

(5)その他の研究

 重水減速炭酸ガス冷却型発電用原子炉の解析評価に関する研究が,原子力平和利用研究委託費(委託費)として川崎重工業(株)において,41年度にひきつづき行なわれた。

(6)英国よりの技術情報購入

 新型転換炉の開発について,動燃事業団では,重水臨界実験装置,熱ループ等の大型施設が完成するまでの間,原型炉設計に必要な資料を得るため,既存の装置を用いて2領域臨界実験,伝熱流動実験等をすすめることとしている。しかし,新型転換炉開発に必要な情報については,推進本部当時より,英国,カナダ等から入手することが検討されていたが,その後,技術情報検討専門委員会等で検討の結果,わが国の新型転換炉と同系統の重水減速蒸気発生型炉(SGHWR)の開発をすすめている英国原子力公社の情報を早急に入手し,設計精度の向上に役立てることとなった。
 このため,動燃事業団では,情報の購入について,英国原子力公社と交渉をすすめていたが,43年2月,契約を締結した。


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