§6 原子力平和利用に関する世論調査

 総理府広報室においては,42年度に原子力平和利用に関する世論調査を実施した。調査結果の概要は,以下のとおりである。
 「原子力」という言葉が与えるイメージについては,平和利用に関係する事項を述べた者は17%で比較的少なく,原水爆,広島,長崎あるいは戦争を述べ,また,これらに関連する恐怖心や不安感を表明した者は67%であった。
 わが国における原子力の開発利用が,平和目的にのみ限られていることについては,過半数の54%が聞いたことがあるとしており,また原子力の平和利用をすすめることが,国民生活の向上に役立つかという質問に対しては66%が役立つと答えたが,否定した者は2%にすぎなかった。
 原子力の施設の安全性に対する認識については,原子力発電所で万一事故があったとしても,爆発は絶対に起こらないが,これを信用するかという質問に対し,信用すると答えた者は19%,信用しないと答えた者は34%であった。
 また,仮定の問題として「歩いて20〜30分ぐらいの所」に原子力発電所ができることになった場合,賛成か反対かという質問に対しては,賛成すると答えた者は14%,反対すると答えた者は41%であり,賛成を表明した者は,産業あるいは科学技術の発展に貢献することを理由にした者が多かったが,一方反対を表明した者のうち90%は,安全性に対する不安を理由とした。


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