§5 核燃料サイクルに関する調査研究

 動力炉開発の効果的な推進をはかるうえに,核燃料サイクルを構成する諸要因を調査解析し,さらに,これにもとづき,原子力発電体系に編入される動力炉の特性と長期的な核燃料サイクルとの相互関連を明らかにし,国内における適切な核燃料サイクルの確立に資するとともに,動力炉の具体的な編入時期と開発規模を明確に設定することはきわめて重要である。
 このような観点から,原子力委員会における動力炉開発および核燃料サイクルの確立に関する審議に資するため,科学技術庁原子力局では,「動力炉開発に関する調査」として,41年度には,原子力発電の経済性について発電コストを中心として調査研究を行なったが,42年度は,これにひきつづき,経済性を中心とする核燃料サイクルに関する調査研究を2つのワーキング・グループを設けて実施した。
 すなわち,第1分科会においては,41年度に行なわれた原子力発電の経済性に関する検討にひきつづき,ウラン濃縮,燃料加工,再処理等,在来型炉による核燃料サイクルの構成要素について技術的,経済的検討を加えるとともに,核燃料サイクル・コストの計算モデルを作成し,各構成要素におけるコストの変動が核燃料サイクル・コストに及ぼす影響について調査研究を行なった。第2分科会においては,42年度から新たに,各種炉型からなる原子力発電の経済性を中心とした超長期核燃料サイクルを調査解析するモデルを開発し,動力炉の特性等が超長期核燃料サイクルに与える影響等について調査研究を行なった。
 なお,以上のほか,原子力平和利用試験研究委託費によって,住友原子力工業(株)においては,42年度は,41年度に開発した超長期核燃料サイクルの物量計算モデルにより,原子力発電体系を構成する動力炉の各炉型の組合せと発電規模,核燃料所要量等が求められた。
 これらの42年度に行なわれた調査研究は,43年5月,チェコスロバキアにおいて開催されたIAEA主催による核燃料の経済性に関するシンポジウムにおいて,発表された。


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