§4 原子力開発利用動態調査

 科学技術庁原子力局では,37年度に「ラジオアイソトープ工業利用実態調査」,38年度に「ラジオアイソトープ医学利用実態調査」,40年度に「放射線工業利用実態調査」をそれぞれ実施してきた。しかしながら,最近におけるわが国の原子力開発利用の急速な進展にかんがみ,その一層の推進に資するため,これまでに行なってきた各実態調査をさらに発展させ,新たに原子力開発利用の全分野を対象として,「原子力開発利用動態調査」を実施することとし,42年度にその第1回調査を行なった。
 本調査は,「放射性同位元素等による放射線障害防止に関する法律」および「核原料物質,核燃料物質および原子炉の規制に関する法律」にもとづき許可または届出を行なっている1,269機関を対象とし,このうち,949機関から回答があり,回答率は75%であった。
 調査結果の概要は以下に示すとおりである。
 回答949機関中,原子力開発利用を行っているとする機関は841機関であったこれを利用分野別にみると,放射線利用が835機関と圧倒的に多く,ついで原子力発電,原子力船等その他の開発利用50機関,原子力機器の生産,建設工事の施工44機関,核原料および核燃料物質の製錬,加工6機関の順となっている。また企業規模別には,放射線利用機が資本金の大小に関係なく普及しているのに対し,放射線利用以外の利用分野については,資本金10億円以上の企業への片寄りがみられている。
 原子力関係従事者においては,42年3月末現在,総数24,538人であり,このうち研究者および技術者は11,422人,放射線作業従事者は,11,412人であった。
 研究開発支出については,41年度の総支出額は212億円であった。その内訳は,研究機関が114億円で最も多く,製造業39億円,教育機関30億円,医療機関8億円の順になっている。
 また,基礎,応用,開発の各研究段階別にみると,基礎研究は教育機関,応用研究は研究機関,開発研究は製造業でそれぞれ当該部門の最高支出額を示している。
41年度における設備投資の総額は108億円であったが,このうち93%を占める101億円が公益事業で投資され,その大半は原子力発電所の建設に関連したものであった。
41年度における原子力関係機器の総生産額は54億円であったが,放射線関係機器が27億円と比較的大きい点が注目される。
 また,国内研修および留学については,42年3月までの累計でそれぞれ2,664人,659人であった。
 以上ほか,放射線利用については,広く普及していることが示された。


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