§3 原子力知識普及活動

 現在,わが国では,原子力発電所等の原子力施設が,各地で建設され,また建設が計画されている。したがって,今後,わが国における原子力開発利用を円滑にすすめるためには,従来にまして国民一般の原子力に関する正しい知識の理解が必要となってきた。
 このような事情にかんがみ,原子力局は,42年10月,原子力関係各機関と密接な連絡を保ちつつ,原子力に関する正しい知識の普及をはかるため,科学技術庁(原子力局),通商産業省(公益事業局),運輸省(船舶局),原研,動力炉・核燃料開発事業団,日本原子力船開発事業団および日本原子力産業会議の7機関で構成する原子力広報連絡協議会を開催することとした。今後,原子力知識の普及活動は,同協議会を中心に推進することとなった。
42年度における普及活動は,科学技術週問および「原子力の日」の行事を中心として行なわれた。
42年度における科学技術週間は,4月15日から21日まで開催されたが,この期間中,原子力関係では,原研,動燃事業団,放医研の原子力関連施設が一般に公開されたほか,展示会,映画会等が各地で開催された。
 「原子力の日」の記念行事については,10月26日の第4回「原子力の日」を中心として,全国各地において多彩な催しが行なわれた。東京における「原子力の日記念講演会」の開催をはじめ,全国14都市において,講演会,映画会等が開催され,また原子力産業展,原子力施設見学会が等催されたほか,新聞,テレビ,ラジオ等においても,原子力に関する各種の企画が掲載,放送された。
 また,第4回「原子力の日」記念行事の一環として,科学技術庁は,通商産業省,運輸省,自治省の後援を得て,地方自治体の職員を対象に,第1回「原子力行政セミナー」を開催した。本セミナーは,最近地方自治体における原子力関係の行政需要が増大しつつあることにかんがみ,これら自治体における原子力担当職員の養成をはかることを目的として開催されたものである。受講者は約80名であった。
 さらに,原子力局は,従来から中学校および高等学校の教職員を対象に,原子力について基礎的な知識の普及をはかる目的で,文部省の後援および都道府県教育委員会の協力を得て,「原子力セミナー」を開催してきたが,42年度には,7月に津市で第13回を,8月に水戸市および東海村で第14回を,それぞれ開催した。受講者は両回合計272名であった。
 このほか原子力局および原研は従来から,知識の普及活動の一環として,原子力委員会の監修のもとに,原子力平和利用に関する映画を制作してきたが,42年度には,「廃棄物の処理」が制作された。42年度までに制作されたわが国の主な原子力関係の映画は,付録IV-16に示すとおりである。


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