§3 日米,日英原子力協力協定の改訂
1新日米原子力協力協定

新日米原子力協力協定は,43年2月調印され,7月,発効した。その主な内容は次のとおりである。
(1)特殊核物質の取引当事者の拡大
 特殊核物質の取引については,現行協定では,政府ベースのものに限定されているが,新協定では,わが国の特殊核物質の民有化の方針にもとづき,民間が直接取引を行ないうることとした。
(2)燃料用濃縮ウランの確保
 わが国は,現在具体的に建設が計画されている動力炉に必要な燃料の長期供給を確保した。すなわち,供給枠は,原子力発電に必要な154トン,原子力船および研究に必要な7トンで合計161トン(ウラン―235量)である。
(3)燃料用プルトニウムの確保
 新協定では,燃料用プルトニウムについて入手の途を開いた。供給枠は,1970年までに必要なプルトニウム365キログラムである。
(4)再処理施設の選択権の確保
 現行協定では,特殊核物質の再処理は,米国原子力委員会またはその受諾する施設でのみ行ないうることになっていたが,新協定では,わが国の施設でも行ないうることとした。
(5)移転された資材等を平和目的にのみ利用することの相互保証
 両国政府は,協定にもとづき移転された資料等が軍事目的に使用されないことを保証することとした。
(6)保障措置の簡素化と国際原子力機関への移管
 保障措置については,現行協定では米国側が生成プルトニウムの優先購入権,寄託を要求する権利等を有していたが,新協定ではこれを削除した。
 また両国政府は,IAEAに対して保障措置を適用することを要請することとした。
(7)協定の有効期間
 協定の有効期間は,30年とした。


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