§8 国際協力の新展開

 わが国は,国際原子力機関(IAEA)など原子力関係機関に対し積極的に参加し, これら各機関の活動に協力しているほか,米国をはじめとする先進諸国との協力協定の締結等により,核燃料,原子力機器,技術情報等の入手をはかり,原子力開発利用を促進してきた。
42年度には,33年に締結された日米,日英の両原子力協力協定について,10年間の有効期限が迫っていること, また,わが国の原子力発電の進展にともない,濃縮ウランの確保をはかる必要があることなどのため,その改訂交渉が行なわれ,それぞれ43年2月および3月に調印され,日米協定については,43年7月10日,発効した。
 日米協定においては,濃縮ウラン161トン(ウラン-235量),プルトニウム365キログラムの供給枠を確保するとともに,これらの特殊核物質の取引については,民間が直接行ないうることと.したほか,米国から供給された燃料の再処理を国内でも行ない得ることとするなど,相互主義に向って一歩前進した。
 日英協定においては,相互主義の原則を確保するとともに,英国から導入する原子炉の運転について必要な燃料に関し,英国はその供給を保証した。
 なお,両協定の保障措置については,従来どおり, IAEAに移管することとなった。また,両協定の有効期間は30年である。
 研究開発における国際協力に関しては,42年度も, 積極的に推進され,42年11月には,東京において第3回日加技術会議が開催され,動力炉開発を中心として情報の交換が行なわれた。また,動力炉開発,放射線化学,その他の分野において,ENEAのハルデン計画への参加をはじめ,米国,英国,フランス等との間に,共同研究の実施,技術情報の入手等が行なわれた。
 さらに, 核兵器の不拡散に関する条約については,42年8月, 米ソ両国より国連18ヵ国軍縮委員会に,同条約の草案が提示され,さらに43年1月および3月にその修正草案が提示された。原子力委員会は,これら草案に対し,核爆発の平和利用に関する権利の留保,保障措置の実施方法等につき,42年8月および43年2月に,その意見を表明した。なお,同条約は,43年6月,国連総会において採択をみるにいたった。


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