§4 米国原子力軍艦の寄港

 米国原子力軍艦は42年4月から,43年5月にかけて横須賀港に7回,佐世保港に2回寄港した。このうち,佐世保港に43年1月,原子力空母エンタープライズ号,およびフリゲート艦トラクストン号が寄港したが,これらは,原子力水上軍艦としてては,わが国への初寄港であった。
 これらの寄港にともなう放射能調査については,両港において,平常時から定期調査および連続測定を行なっているが,さらに,寄港に際しては,入港前後,停泊中および出港前後にそのつど臨時調査が実施された。
4半期ごとに行なっている定期調査については,両港周辺において,海上保安庁により海水と海底土の試料,水産庁東海区および西海区水産研究所により海産生物の試料が,それぞれ採取され,全放射能を測定したのち,厚生省国立公衆衛生院および(財)日本分析化学研究所(分析研)において,機器分析および化学分析が行なわれた。
 また,近海においては,水産庁の各海区水産研究所により,海産生物の試料が採取され,分析担当機関において機器分析および化学分析が行なわれた。
 とくに海水については,大量採水を行ない,精密な化学分析が行なわれた。
 以上のほか,海上保安庁において,モニタリングボートにより,港内所定コースについての海水中および空間のガンマ線量の測定が行なわれた。
 連続測定については,佐世保,横須賀両市当局においてモニタリングポストおよびモニタリングポイントにより,海水中および空間のガンマ線量の連続測定が行なわれた。
 臨時調査については,海上保安庁において,モニタリングボートにより寄港のつどその入港前後,停泊中,出港前後に港内所定のコースおよび原子力軍艦周辺における海水中および空間のガンマ線量の測定が行なわれた。
 また,空母エンタープライズ号の寄港を機に,放射能の監視を強化するため,佐世保,横須賀両港に連続測定のモニタリングポストが増設された。
 その入港に際しては,臨時に,佐世保港において,寄港の前後に海水,海底土が採取され,化学分析が行なわれた。
 これらの寄港にともなう環境放射能の測定結果は付録IV-3に示すとおりである。


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