§3 中共核爆発実験

 中共は42年6月に第6回,12月に第7回の核爆発実験を実施した。
 第6回核爆発実験は,6月17日,中共西部地区ロプノール湖付近で実施されたが,これは数メガトンの水爆実験とみられている。
 環境放射能レベルはほとんど平常値と変らなかったが短寿命の放射性核種が検出されたことは,わずかながら放射能気塊の一部がわが国にも飛来したことを示している。
 わが国への影響の少なかった理由は,核分裂生成物のほとんどが成層圏に上昇したためと推定される。
 第7回核爆発実験は,12月24日,第6回と同地域で実施され,その爆発規模は,20キロトン以下と推定されている。わが国への影響は2日後の26日,新潟をはじめ,各地において強放射性粒子が検出されたが,その数は少なかった。また,高空浮遊塵について25日,1万メートル上空において,17,960ピコキュリー/立方メートルという測定結果が得られたが,これも27日には平常値に復した。雨水,地表浮遊塵にはほとんど影響が現われなかった。
 高空に放射能気塊の飛来が確認されながら,地表へはわずかの強放射性粒子の降下にとどまったのは,ジェット気流によって,放射能気塊が日本上空をすばやく通過したためと推測される。
 これらの測定結果は,付録IV-2に示すとおりである。


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