第8章 原子力関係技術者の養成および原子力知識普及活動
§3 原子力知識普及活動

1 原子力開発10周年記念行事

 40年度は,31年1月1日,原子力基本法などの原子力3法が施行され,わが国が原子力開発に本格的に着手してから10周年を迎えた。
 また,40年度は,第1章で述べたようにわが国の原子力開発利用が,研究と利用の両面において一段の飛躍がはかられようとした年でもあった。この時にあたり,わが国における原子力開発利用の歩みを振り返り,過去の経験を将来の発展の糧とするために,原子力開発10周年記念の諸行事が催された。
 原子力開発10周年記念行事を企画,立案,推進するために,科学技術庁原子力局,日本原子力研究所,原子力燃料公社(公社),日本原子力船開発事業団,放射線医学総合研究所,日本原子力産業会議(原産)等の関係機関により,39年12月,原子力開発10周年記念行事委員会が組織され,「原子力開発十年史」の編纂発行,特別講演会の開催等の諸行事が,第2回「原子力の日」(10月26日)を中心に,全国各地において行なわれることとなった。
 「原子力開発十年史」の編纂には,原子力局,原研等関係機関で構成された原子力開発十年史編纂委員会があたり,40年10月26日,「原子力開発十年史」が発行される運びとなった。この十年史は,総論,第I部,第II部,資料および年表で構成され,A4版437頁に及ぶものである。総論では,この10年間を中心とした動きを特徴づけ,第I部では,重要な事項を中心にその経緯と背景を,第II部では事項別にその推移を,それぞれ述べている。
 また,10周年記念行事の一環として,原子力開発記念特別講演会が10月26日に,総合発表会が10月26日および27日の両日に東京でひらかれたのをはじめ,北海道から九州にいたるまで全国各地において,講演会,展示会等が開催された。このほか,原研,公社,放医研等において,関係施設の特別公開が行なわれたことなど,原子力開発10周年記念行事は,関係機関,民間企業等の協力のもとに,成功裡に行なわれた。

2 その他

 また,40年度には,原産を中心として関係各機関の協力により,財団法人日本原子力普及センターが設立され,40年7月に発足した。同センターは,広く原子力平和利用に関する知識の啓発普及を積極的に行なうとともに,東海村原子力施設における見学の指導等でわが国における原子力の開発および平和利用促進に貢献することを目的としているものである。その後,同センターは,茨城県那珂郡東海村に見学館および原子力館の建設をすすめていたが,41年4月,見学館の完成をみ,その業務を開始した。
 なお,これとともに,33年に茨城県が水戸市に設置した水戸原子力館はその展示物を同センターにあわせ収容することとし,廃館されることとなった。
 かねてから,原子力局および原研は,知識の普及活動の一環として,原子力委員会の監修のもとに,原子力平和利用に関する種々の映画を製作してきた。40年度には,「燃料の開発-原子力を拓く人々-」がつくられた。これを含めて,日本の主な原子力関係の映画は,(付録IV-21)に示すとおりである。
 なお,39年度製作の「ふしぎな力―原子力の基礎―」は,40年度優秀科学技術映画賞を受賞した。
 また,原子力局は,中学校および高等学校の教職員を対象に,原子力についての基礎的な知識の普及をはかる目的で,文部省の後援および都道府県の協力をえて,「原子力セミナー」を開催してきた。40年度には,8月に高松で第9回を,10月に札幌で第10回をそれぞれ開催した。受講者は両回合計249名であった。


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