第7章 国際協力
§5 科学技術者の交流

 IAEA,ENEA等の国際機関における活動,ユーラトムとの協力および2国間における協力等のほか,わが国が行なった国際協力活動として,科学技術者の交流がある。

1 海外原子力関係者の招へい

 原子力委員会は,毎年海外の原子力関係者を招へいして,海外諸国との原子力協力の促進をはかってきた。40年度には,西ドイツ科学研究省次官のカルテリーリ博士を招へいし,西ドイツにおける原子力政策について意見の交換を行なった。また,フランスのフォント・ネ・オ・ローズ原子力研究センターのユベール博士を招へいして,フランスの核融合研究の現状等について国内関係者との話合いを行なわせた。

2 技術援助のための専門家の来日

 従来,IAEAの技術援助計画にもとづいて招へいしていた専門家の招へいについて,政府は,IAEAの資金援助にたよらず,とくに外国の専門家の指導を必要とする次の3分野の専門家を招へいすることとした。
 すなわち,「再処理試験プラント」についてフランス原子力庁から,「生物の放射線突然変異に関する研究」および「大型ループの設計および運転に関する安全評価」についてカナダ原子力公社から,それぞれ1名ずつの専門家を招へいした。

3 東南アジア研修生の受けいれ

 東南アジア各国との原子力協力関係の緊密化およびわが国の地域援助活動の一環として,38年に始めた日本政府給費による原子力技術者の受けいれは,これまで4名の技術者を東南アジア諸国から受けいれた。40年度には,さらにタイ,フィリッピンおよび韓国から,それぞれ1名ずつを原研および科学技術庁放射線医学総合研究所に受けいれ,東南アジア地域の原子力協力に努めた。なお,原研は,IAEAによるフェローを含め,これらわが国に受けいれた研修生を対象としたラジオアイソトープ国際研修コースをラジオアイソトープ研修所において年1回開催し,研修生による基礎知識修得をはかっている。


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