第7章 国際協力
§2 国際条約

 原子力の研究開発および利用にともなって生ずる問題のなかには,世界の各国に共通する問題があり,しかも従来の国際条約によっては,十分に対処しえない場合が多い。これらの問題を解決するため,関係諸国が協力して,国際条約を締結しようとする動きがはやくからみられた。
 とくに,次の3条約には,わが国も当初から関心をもち,その作成過程を通じ積極的に協力した。
 すなわち,原子力船の出入港に際してこの安全の確保を目的とする「1960年の海上における人命の安全のための国際条約」(海上人命安全条約),原子力船から生じた原子力災害に関する運航者の賠償責任等を定めた「原子力船運航者の責任に関する条約」および陸上における原子力施設等から発生した原子力災害に関する民事責任等を定めた「原子力事故の民事責任に関する条約」の3つである。このうち,海上人命安全条約は,40年5月25日に発効した。これら3条の概要は(付録IV-12)に示すとおりである。
 40年度末において,海上人命安全条約を受諾している国は合計47カ国である。
 原子力事故の民事責任に関する条約は,キューバ,アラブ連合およびフィリッピンの3カ国が受諾したので,あと2カ国が受諾することにより発効することとなる。なお,カメルーンおよびトリニダット・トバコが加入の意を表明している。
 原子力船運航者の責任に関する条約については,40年度において,とくに新しい動きはみられなかった。


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