第7章 国際協力

 原子力開発利用の分野における国際協力は,先進諸外国に遅れて開発に着手したわが国にとって,諸外国の技術を吸収消化し,その水準に到達するために,きわめて重要な役割を果してきた。最近では,各国ともとくに動力炉開発の分野において積極的な協力が行なわれており,わが国としても,これら諸国との協力に期待するところが多いので,原子力に関する国際協力は今後ますます活発となって行くものと予想される。
 わが国は,また,国際原子力機関(IAEA)等原子力関係の国際機関に対し積極的に参加またはその活動に協力することによって,原子力平和利用の国際的な推進にも絶えず大きな関心と努力をはらってきた。さらに,給費生制度を設け,あるいはIAEA等の地域活動に協力して,主に東南アジア地域の各国に対し,原子力技術者の養成等の技術援助を行ない,これら地域の経済開発等に寄与するよう努力してきた。
 昭和40年度において特記されるべき事項は,IAEAの総会がはじめて本部所在地であるウィーンを離れて東京で開催されたこと,また,2国間および国際機関を通じての協力に多くの進展がみられたことである。
 すなわち,欧州原子力機関(ENEA)の共同事業への参加,2国間協力における技術交流および情報交換の拡大,欧州原子力共同体(EURATOM=ユーラトム)との新たな協力関係の樹立など,わが国の国際協力関係の前進がはかられた。これらは,いずれも原子力における相互協力のもとに,当事国の効果的原子力開発をねらいとしたもので,今後のわが国の国際協力活動の方向を示すものとして,きわめて意義あるものである。
 そのほか,40年度において,わが国は,主として東南アジア地域から研修生を受け入れ,低開発国の技術援助を継続する一方,海外先進諸国から原子力関係専門家を招へいして,原子力分野における相互理解および情報交換につとめた。


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