第2章 原子炉の開発利用
§6 原子力船

2 契約

 40年3月,事業団では,造船大手7社に対し,原子炉メーカーを下請として,原子炉についても責任をもたせるいわゆる船炉一体契約方式で,第一船建造予算36億円をもつて指名競争入札を行なったが,契約成立にはいたらなかった。その後,事業団では,原子力委員会および関係当局とはかり,随意契約方式をとることとし,船体部については,日本造船工業会の斡旋により石川島播磨重工業(株)と,原子炉部については,三菱原子力工業(株)とそれぞれ折衝をすすめるとともに,ひきつづき原子力第1船の見積り価格の検討に努めた結果,40年6月,契約締結を可能とする船価を約60億円と見積り,建造計画を1年延期して予算の増額およびその他の所要の措置を講ずるよう原子力委員会および関係当局に要請した。
 事業団があらたに要請した船価は,さきに学識経験者および関係業界の意見を徴し原子力船専門部会等の議をへて,予算化された第1船建造費36億円をはなはだしく超過しており,かつ,その内容には多くの不確定要素がふくまれていると考えられるので,原子力委員会は,40年7月,この際原子力第1船の建造着手を若干延期し,「原子力第1船開発基本計画」の実施上の問題点について,検討を加えることとした。


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