第2章 原子炉の開発利用
§5 材料試験炉,動力試験炉,研究炉および臨海実験装置

2 動力試験炉

 原研の動力試験炉(JPDR)は,38年10月26日,初発電に成功し,その発生電力は,東京電力(株)の系統を通じて一般に供給とれたが,39年3月制御棒シール部分に故障が生じたので,運転は一時停止された。故障個所の修理ののち,再び出力上昇,調整運転などをへて,40年3月通商産業省の竣工検査が行なわれ,40年5月,使用認可証が交付された。
 以来,この炉は,順調に運転され,運転研究および特性解析のために利用されているほか,現在,第4節において述べた高出力密度化試験計画(JPD-R-II計画)がすすめられている。
 運転研究および特性解析については,40年6月から7月にかけて,1000時間連続運転が行なわれ,負荷変動試験,給水過度試験および再循環流量,炉中心中性子束分布などの測定解析が行なわれた。その後,パイルオシレータの組込みと国産燃料の装荷が行なわれたのち,ガンマプローブによる出力分布測定,キャリアンダーの測定,給水温度制御系試験などが行なわれた。
40年度におけるこの炉の運転実績は,運転時間4533時間,発生電力量4309万キロワット時であった。


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