第2章 原子炉の開発利用
§3 原子力発電所

3 その他の原子力発電所建設計画

 原電における原子力発電所の建設にひきつづき,関西電力(株),東京電力(株),中部電力(株)などの各社が大型商業用原子力発電所の建設を計画している。
 関西電力(株)では,美浜原子力発電所を福井県三方郡美浜町地区(敦賀半島西側,敷地面積60万平方メートル)に建設することを計画し,38年12月から用地の買収,海面の埋立など発電所敷地の確保に努めている。また,地質,地震,気象,海象,取水などに関する現地調査をひきつづき実施するとともに,現地に「美浜原子力発電所建設準備所」を設けて,本格的な建設の準備をすすめている。
 また,同社では,米国GE社またはWH社から軽水炉を購入することを前提として契約折衝をすすめ,41年4月,WH社の原子炉を採用することを決定した。
 この原子炉は,商業発電を目的とした熱出力103.1万キロワット,電気出力34万キロワットの加圧水型炉(PWR)で,燃料には,低濃縮二酸化ウランが使用される。このうち,タービン発電機は国産されることになっている。
 建設工事は,41年12月に着工,45年6月燃料装荷,45年12月竣工の予定である。発電所の総工事費は,318億円で,発電原価は,キロワット時あたり初年度約3円の見込みである。なお,原子炉の設置許可申請は,41年6月に行なわれた。
 東京電力(株)では,福島原子力発電所を福島県双葉郡双葉町および大熊町にまたがる(大平洋沿岸,敷地面積300万平方メートル)に建設することを計画し,発電所敷地の用地買収をすすめている。
 また, 地質,地震,気象,海象,取水などの現地調査を実施するとともに,現地に「福島県原子力建設準備事務所」を設けて,本格的な建設準備を行なっている。
 この発電所の原子炉は,商業発電を目的とした熱出力121.3万キロワット,電気出力40万キロワットの米国GE社の沸騰水型炉(BWR)で,燃料には,低濃縮二酸化ウラン が使用される。
 建設工事は,41年12月に着工,45年12月に竣工の予定である。発電所の総工事費は約360億円で,発電原価は,キロワット時あたり初年度3円弱になる見込である。なお,原子炉の設置許可申請は,41年7月に行なわれた。
 中部電力(株)では,30万キロワット程度の原子力発電所を三重県度会郡南島町および紀勢町にまたがる芦浜地区(態野灘沿岸,敷地面積330万平方メートル)に建設することを計画しているが,地元の一部に反対運動などがあり,計画の進行は難航している。中部電力は,敷地事情の好転をまって,現地調査を行ない,早急に着工することを目途に準備をすすめることとしている。


目次へ          第2章 第4節(1)へ