第1章 総論
§4 原子力発電の進展

 40年度は,動力炉開発方針の検討がすすめられるとともに,原子力発電所の建設についても着実な進展がみられた。このような情勢から関係各方面でも原子力発電に対して大きな期待が寄せられており,原子力発電はいよいよ実用の域に達しようとしている。
 原電の東海発電所(電気出力16万6000キロワット)は,各種の故障があいつぎ営業運転開始が大幅におくれていたが,改修工事が鋭意すすめられた結果,近く営業運転を開始しうる見込みとなった。また,同社の敦賀発電所(電気出力32万2000キロワット)については,安全性等の審査をへて,41年4月,内閣総理大臣から設置の許可が与えられ,米国ゼネラル・エレクトリック社と建設の契約が締結され,本格的な建設工事が着手された。また,原電にひきつづき東京電力および関西電力は,それぞれ原子力発電所の建設計画を具体化している。すなわち,東京電力では,出力40万キロワットの福島原子力発電所を福島県双葉郡双葉町および大熊町にまたがる地域に設置することとし,関西電力では,電気出力34万キロワットの美浜原子力発電所を福井県三方郡美浜町に設置することとして,それぞれ準備をすすめている。これらの原子力発電所の建設については,すでに内閣総理大臣に対して設置許可の申請が行なわれている。
 民間電気事業者の原子力発電に関する長期計画として,中央電力協議会は40年12月に40年度電力長期計画を発表した。これによると,50年度までに,電気事業者が運転を開始する原子力発電の容量は484万1000キロワットであるとされている。
 また,日本原子力産業会議は,41年1月に原子力発電の長期見通しを発表し,50年度の原子力発電の規模は484万1000キロワット,60年度は,4276万キロワット,75年度は,1億6445万キロワットと想定している。
 通商産業大臣の諮問機関として40年7月に設置された総合エネルギー調査会は,原子力を含む各種エネルギーの位置づけに関する検討を行なっており,将来の総合エネルギー政策の観点から原子力に対してきわめて大きい期待が寄せられている。41年3月に行なわれた同調査会原子力部会の中間報告では50年度の原子力発電規模は500万キロワット,60年度の原子力発電規模は3000万キロワットないし4000万キロワットとするのが適当であろうとしている。


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