IV 本文参考資料

11.米国原子力潜水艦寄港にともなう放射能調査結果

 米国の原子力潜水艦は,39年11月12日から11月14日まで,および40年2月2日から2月5日までの2回,佐世保港に寄港,停泊した。
 入港前,停泊中および出港直後に,停泊水域および停泊中の潜水艦の近傍において,放射能の測定が行なわれたが,その結果は科学技術庁からつぎのように発表された。

(a) 米国原子力潜水艦第1回佐世保港寄港の際の放射能調査結果
 (39年11月12日,米国の原子力潜水艦シードラゴン号が,佐世保港に入港し,11月14日,出港した)

1.放射能監視艇による放射線監視状況
 佐世保海上保安部に配置してあるモニタリングボート(放射能監視艇)が入港直前停泊中および出港直後に出動して放射線の測定を行なった。
 入港直前については,39年11月11日午後,佐世保港内外港の所定のコースについて測定した結果,海水の測定値は5ないし6cpsであった。停泊中については,11月13日午後原子力潜水艦の周囲を同心円状に5周し,測定した結果,海水の測定値は6ないし8cpsであり入港直前のバックグラウンドレベルとの相異は認められなかった。
 出港直後については,11月14日出港後直ちに測定を開始し,停泊位置の周囲を同心円状に3周し,ついで佐世保内港の所定コースを運行し,再び停泊位置の周囲を同心円状に3周して,測定を行なった結果,いずれの場合も海水の測定値は5ないし6cpsであり,バックグラウンドレベルとの相異は認められなかった。

2.モニタリングポストによる放射線監視状況
 佐世保市に設置してあるモニタリングポストの自動記録装置により海水中のガンマ線量が入港前より記録されているが,入港後,停泊中および出港後を通じて記録を継続している。
 これによればポスト運転開始後入港までの測定値は900ないし1,500cpmであった。
 入港時(入港前および入港後)および停泊中のレベルは900ないし1,400cpmを示しており,徒来のバックグラウンドレベルとの相異は認められなかった。
 出港時(出港前および出港後)のレベルについても900ないし1,000cpmで,バックグラウンドレベルとの相異は認められなかった。

(b) 米国原子力潜水艦第2回佐世保港寄港の際の放射能調査結果
 (40年2月2日,米国の原子力潜水艦シードラゴン号が佐世保港に入港し,2月5日出港した)

1.モニタリングボート(放射能監視艇)による測定
 (1) 40年2月1日,佐世保港内港につき,入港前の測定を行なった。海水の測定値は5.5~6.5cpsであった。
 (2) 2月2日,佐世保港内港および艦の周辺につき,停泊中の測定を行なった。海水の測定値は5.0~6.0cpsであった。
 (3) 2月3日,艦の周辺につき停泊中の測定を行なった。海水の測定値は5.6~6.5cpsであった。
 (4) 2月5日,出港直後に停泊位置周辺および内港につき出港後の測定を行なった。
 海水の測定値は5.5~6.5cpsであった。

2.モニタリングポストによる測定(海水)
 (1) 2月1日午前0時から2月2日午前8時(入港前)まで990cpm~1,200cpm
 (2) 2月2日午前8時から2月5日午前11時(出港前)まで840cpm~1,350cpm
 (3) 2月5日午前11時から同日午後2時まで900cpm~1,130cpm
 (3) 以上の結果よりみれば,今回の米国原子力潜水艦シードラゴン号寄港時および出港直後において,環境放射能には入港前に比べ変化は認められなかった。


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