§4 原子力知識普及活動

 科学技術庁では,従来,広く一般国民を対象に,正しい原子力知識の普及のため,種々の活動を行なってきた。39年度においても,これらの活動は活発に行なわれた。
 科学技術庁は,これまで科学技術週間(4月18日の「発明の日」を含む1週間)のうちの1日を「原子力デー」として,原子力の知識普及活動を集中的に行なってきたが,39年度には科学技術週間における「原子力デー」を廃止し,新しく「原子力の日」を制定することとした。なお,科学技術週間中には,従来どおり日本原子力研究所東海研究所,原子燃料公社東海製練所,科学技術庁放射線医学総合研究所等の原子力施設の特別公開が行なわれた。
 「原子力の日」の制定については,種々検討が重ねられた結果,7月31日の閣議において,毎年10月26日を「原子力の日」とすることが了解された。
 この日を「原子力の日」と定めたのは,31年わが国が国際原子力機関に加盟することを決定し,かつ,38年,日本原子力研究所の動力試験炉が初発電に成功した日であることを記念するためである。
 39年10月26日の第1回「原子力の日」には各種講演会,映画会等が開催され,ラジオ,テレビジョンによる原子力に関する放送や,原子力関係施設の特別公開が行なわれた。
 なお,40年度は,31年1月1日,原子力基本法等原子力3法が制定され,わが国が原子力の開発利用に着手してから10年目を迎えるので,原子力開発10年史の刊行等各種の10周年記念行事を開催することが予定されている。これらの諸行事を総合的,統一的に企画し,推進するため,科学技術庁原子力局を中心に日本原子力研究所,原子燃料公社,日本原子力産業会議などの13機関により,原子力開発10周年記念行事委員会が,39年12月に組織された。
 原子力局および日本原子力研究所は,原子力委員会の監修のもとに,原子力平和利用に関する種々の映画を製作してきた。39年度には,原子力の基礎について解説した「ふしぎな力」がつくられた。これを含めて,日本の主な原子力映画は,付録IV-25に示すとおりである。
 また,原子力局は,中学校および高等学校の教職員を対象に,原子力についての基礎的な知識の普及をはかる目的で,文部省の後援および各都道府県の協力をえて「原子力セミナー」を開催してきた。39年度は,8月に仙台市で第7回原子力セミナーが,10月に広島市で第8回原子力セミナーが開催された。受講者は両方あわせて195名であった。
 その他,39年度には,日本科学技術振興財団の科学技術館が開館され,展示による原子力知識普及活動も積極的に行なわれた。


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