§5 第3回原子力平和利用国際会議

 第3回原子力平和利用国際会議は,8月31日から9月9日まで10日間ジュネーブにおいて開催された。
 会議参加者は,77箇国および10国際機関の代表1869名の多数におよび,オブザーバーその他を含めると4000名にのぼった。わが国からは,駒形原子力委員を主席代表とした49名の代表団およびオブザーバー19名が参加した。
 また,提出論文は749編で,このうち口頭発表は321編であった。わが国は,29編を提出し,うち9編を口頭発表した。
 会議1日目のセッションの「今後のエネルギー需要と原子力の役割」において米国,英国,ソ連,フランス等の先進国とならび,わが国代表は,原子力委員会においてまとめた「日本における原子動力の必要性とその開発計画」と題する論文を発表した。
 なお,わが国から提出した論文は付録IV-13に示すとおりである。今回の会議では,原子力発電が在来火力発電と十分競合しえる段階に到達したことが認められた。また,先進国は,将来の開発目標を高速増殖炉におき,その研究開発を積極的に推しすすめるとともに,高速増殖炉が実用化するまでの間,高温ガス冷却型炉,重水型炉等の新型転換炉を開発する方針を明らかにした。一方,真水製造・発電2重目的原子炉が多くの参加者の注目をひいた。
 会議と並行して,参加各国の理解を求めるために,科学展示会が催され,わが国をはじめ,米国,英国,ソ連,フランスなど18箇国が出品した。わが国は,原子力船模型,ガラス線量計等数点を展示したほか,日本の原子力事情を紹介したパンフレット等の資料を配布し,積極的にわが国の原子力事情の紹介につとめた。


目次へ          第5章 第6節へ