§3 国際条約

 原子力の研究開発および利用にともなって生ずる問題のなかには,各国に共通の問題であるとともに数箇国にまたがるものがある。これらの問題は,従来の国際法規によっては十分に対処しえない新規の分野に関するものである場合が多い。したがって,これらの問題を解決するために,関心を有する国々が協力して,早くから国際条約を締結しようとする動きがみられた。
 すなわち,原子力船の出入港に際してこの安全の確保を目的とする「1960年の海上における人命の安全のための国際条約」(海上人命安全条約)原子力船から生じた原子力災害に関する運航者の賠償責任等を定めた「原子力船運航者の責任に関する条約」,陸上における原子力施設等から発生した原子力災害に関する民事責任等を定めた「原子力事故の民事責任に関する条約」がすでに採択されており,その概要については,(第7-3表)に示すとおりである。

 これらの条約のうち,海上人命安全条約については,39年5月26日にリベリアが受諾したことにより,100万総トン以上の船舶を有する国が7箇国となり,事実上の発効要件を充足したので,それから1年を経過した40年5月26日に発効が予定されている。


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