§1 国際原子力機関の活動

1.第8回総会の開催

 第8回総会は,39年9月14日から5日間ウィーンにおいて開催され,わが国からは7名からなる代表団が出席した。今次総会には,88箇国中75箇国の政府代表のほか,国際連合食糧農業機構(FAO),世界保健機構(WHO)等の専門機関,ユーラトム,欧州原子力機関(ENEA)のオブザーバーを加え,合計390名が出席した。

(1) 事務局長の演説
 総会冒頭に行なわれた事務局長の演説では,発電用原子炉実用化の可能性が確認され,真水製造・発電2重目的原子炉開発の意義が述べられた。
 また,世界における原子炉数の増加,その大容量化の傾向を反映してIAEA保障措置の重要性がいっそう強調された。さらに,トリエステの国際理論物理学センター,カイロのアラブ諸国訓練コース,ノルウェー,ポーランドおよびユーゴの炉物理に関する国際協力の基礎となったノラ計画,フィリッピンのクリスタル・スペクトロメータ計画等の地域的国際研究計画の重要性が指摘された。

(2) 東京総会の決定
 40年に開催される第9回総会を東京で開くことが全員一致で承認され,開催期日については9月,10月とし,詳細は後日検討することとなった。

(3) 1965年予算および事業計画の承認
 1965年予算として,分担金にもとづく経常予算793万8000ドル,任意抛出金にもとづく事業予算246万8000ドルをそれぞれ多数で採択した。
 事業計画については,1965年以降は2年間にわたる計画が作成されることになり,1965〜1966年計画が決定された。

(4) 理事国の改選
 今次総会における理事国の選出は5箇国で,ラテンアメリカ地域からアルゼンチンおよびチリ,アフリカおよび中東地域からアラブ連合,東南アジアおよび太平洋地域からタイ,また西ヨーロッパ地域からオランダがそれぞれ選ばれた。この結果,今年度の理事国の構成は,第7-1表に示すとおりとなった。


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