§1 核燃料

4.加 工

 38年度から,核燃料の国産化の一段階として,日本原子力研究所(原研)の動力試験炉(JPDR)用燃料の国産をすすめることとなった。このため原研は,原燃,民間企業の関係者および学識経験者の参加をえて,国内技術を勘案しつつ,JPDR燃料のテスト・アセンブリの製作について検討を重ね,その結果,39年度にテストアセンブリNo.1の仕様を定めるとともに民間企業に発注した。
 一方,テストアセンブリNO.1用として米国から入手した2.6%濃縮六フッ化ウランを民間企業が二酸化ウランに転換し,燃料棒に加工した。被覆管は,ジルカロイ管を用いることとし,その160本を民間企業において製作し,他の280本を海外から輸入した。原燃は,これらの燃料について照射前検査を行ない,検査に合格したものについてひきつづき,JPDRで照射試験を行なうことになっている。
 原研では,これと並行して,高出力用燃料のテストアセンブリNO.2の設計をすすめている。動力炉用燃料の組立加工に関する民間企業の開発に対しては,39年度から原子力平和利用研究費補助金による助成が行なわれている。
 原子力第1船用原子炉の製作にあたり,あらかじめ必要とされる臨界実験に使用する燃料は,民間企業で加工されることになっている。
 また,原研の材料試験炉臨界実験装置に用いる90%濃縮ウランーアルミニウム合金の板状燃料が民間企業で加工されることになっている。
 民間企業は,濃縮二酸化ウラン燃料について,原子力平和利用研究費補助金により,原研,原燃の協力をえて,濃縮二酸化ウラン燃料の照射試験をすすめている。すなわち,民間企業が製作し,原燃が照射前試験を行ない,各種試験の終了したものについて米国の材料試験炉で照射試験が実施されている。ひきつづき照射後試験が原研で行なわれることになっている。
 将来の原子炉に用いる燃料の研究として炭化ウラン,窒化ウラン等の特性および製造方法の研究については,原研をはじめとして民間企業等で行なわれている。


目次へ          第3章 第1節(5)へ