§1 核燃料

3.製 錬

 原燃は,東海製錬所において,たい積型ウラン鉱床の各種鉱石について硫酸浸出による製錬試験を行ない,エクサー法を応用し,粗製錬工程と精製錬工程とを直結する一貫製錬技術の開発に成功した。採鉱,洗鉱など一連の処理工程における技術的安定性および経済性を総合的に検討するために,人形峠鉱山に鉱石処理量が時間当り1トンの山元試験製錬所を建設することになり,38年10月その建設に着手した。
 すなわち,39年度は前年度に行なった整地工事,建屋基礎工事等にひきつづき,東海製錬所から破砕浸出装量および精製装置を移転するとともに,硫酸混和加熱浸出装置の建設を行ない,7月末,主工程の工事を完成し,試運転にはいった。
 8月上旬から中津河坑の高品位鉱107トンを同製錬所に給鉱し,精製錬工程の試運転用として浸出液を製造したが,ヒギンス塔のバルブの調整に手間どり,9月下旬に最初の塩化ウラニル溶液0.55立方メートル(ウラン量45.6キログラム)を生産した。冬期は,運転を休止し,試験結果をとりまとめたほか,各種工程における操業条件に再検討を加えるとともに,作業員の教育を行なった。


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