§6 核融合

 制御熱核融合が実現されれば,世界のエネルギー問題は,資源的にほとんど永久的に解決されることになる。しかしながら,制御熱核融合を実現するためには,プラズマの加熱,封じこめ,安定化等に未解決の問題が多く,諸外国においてもこれらの諸問題を解決するために多大の努力がはらわれている。
 わが国においても,プラズマの発生,加熱,測定等の基礎的な研究が,名古屋大学プラズマ研究所をはじめ,電気試験所,原研,理化学研究所,大学,民間企業の研究所等において行なわれている。従来,わが国では,諸外国にみられるような千万度のオーダの高温で,かつ,高密度のプラズマ発生装置にくらべて,小規模の装置によって研究が行なわれてきた。
 これらの研究のうち,どちらかといえば,プラズマ状態における核融合反応に関する理学および工学体系の確立を目的としたものは,文部省の予算により,制御熱核融合を起こす高温プラズマの発生とこれに関連する技術開発を目的としたものは,原子力予算により行なわれてきた。
 なお,33年度から交付されてきた原子力平和利用研究委託費による民間企業の研究は,これまでの研究成果を総合的に評価し,制御熱核融合研究の今後のすすめ方について再検討を加えるために,40年度からしばらく見送られることとなった。


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