§3 試験炉

1.動力試験炉

 原研の動力試験炉(JPDR)は,35年以来,ゼネラル・エレクトリック・ジャパン社(GEJ)によって建設がすすめられ,38年10月,初発電に成功して,同年12月,原研に正式に引渡された。原研は,その後,特性測定,習熟運転等を行なってきたが,39年3月末,制御棒シール部分に故障が生じたので,運転を停止した。故障箇所の修理の後,12月,再び,出力上昇および調整運転が行なわれた。ひきつづき,原研は,習熟運転,竣工検査のため,リハーサル運転等を行なった。そして,40年3月に通商産業省の竣工検査が行なわれ,3月15日仮使用認可証が交付された。
 JPDRの特性解析については,最小臨界量の測定,最大装荷炉心における臨界接近試験,自動制御系の機能試験,安全系試験,過渡特性試験等が行なわれた。
 また,JPDRの出力密度を上昇させるための試験研究については,高出力用燃料の開発,計算機制御,高出力密度化のための設計計算等に関する試験研究が行なわれた。
 すなわち,燃料の開発については,高出力用燃料を開発するための前段階として,現在JPDRに使用されている燃料アセンブリと同仕様のテスト・アセンブリNO.1の製造をすすめている。このテスト・アセンブリNO.1に使用するジルカロイ管については,一部を民間企業において製作し,残りを海外から輸入した。また,濃縮六フッ化ウランは,39年9月,米国から入手し,その転換加工が,民間企業においてなされた。これと並行して原研は,高出力用燃料のテスト・アセンブリNO.2の設計をすすめている。
 計算機制御の研究については,計算機付属装置の整備をすすめるとともに,オンライン・プログミング・システムを確立し,40年度に開始するJPDRのデータ・ログおよび性能計算の準備をすすめている。
 高出力密度化のための設計計算に関する研究については,「自然循環方式沸騰水型炉マルチ・チャンネル核熱水力計算コード(JR-HYDRO)」を開発し,それを改良して「自然循環方式沸騰水型炉2次元マルチ・チャンネル核熱水力計算コード(BWR-CALCULATOR)」を完成した。


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