§2 原子力発電所

1.日本原子力発電株式会社東海発電所の建設状況

 昭和36年4月着工した日本原子力発電株式会社東海発電所の建設は,当初の予定より遅れたが,いよいよ大詰に近づいた。この発電所に使われる動力炉は,英国から導入したコールダーホール改良型原子炉で,電気出力16万6000キロワットである。その建設工事は,日本原子力発電(株)が行なう直営工事と,主請負者である英国ゼネラル・エレクトリック社が行なう工事に分けられている。
 主要な工事の進捗経過について述べる。タービン・コンデンサー冷却用水を鹿島灘沖合500メートルから取水するため,わが国では画期的な2本の取水管引出沈設工事が38年7月無事完了した。原子炉建屋は38年11月に完成した。38年6月原子炉圧力容器全体の焼鈍が行なわれ,39年1月全体の圧力試験を完了し,同年7月黒鉛積込作業が終了した。

 36年度からはじめられた発電所本館工事は38年12月完了した。1号タービン発電機は39年6月,2号タービン発電機は同年8月に据付を完了した。38年末からはじめられた屋外開閉所工事は39年8月完了した。第1次装荷用燃料は,英国原子力公社スプリングフィールド工場において製造され,39年7月予備燃料を含めて218トンが完成し,日英原子力協力協定にもとづき日本政府による検査をうけた後,6月から12月まで15回に分けて輸送された。39年9月,原子炉1次系,すなわち原子炉圧力容器,4基の熱交換器およびこれらの間をつなぐ高・低温ガスダクトの建設工事を完了し,原子炉1次回路の臨界前試運転が開始された。11月下旬から原子炉の高温空気による試験運転が行なわれ,漏洩試験,圧力降下試験および原子炉付属機器の性能試験が実施され,40年4月20日通商産業省による工事中検査および燃料挿入前検査に合格し,4月21日試験使用の認可をうけて,同日10時から燃料装荷が開始され,5月4日午後2時8分臨界に達した。その後,格子定数の測定と制御棒効果の測定を行ないながら,数段階に分けて燃料を装荷し,5月28日全量186.6トンの装荷を終えた。ひきつづき出力上昇試験,連続運転試験などを行なった後,竣工引渡しをうけ,11月から営業運転を行なう予定である。なお燃料取換機は,B号機が40年2月に完成し,A号機は組立中である。


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