II 原子力委員会の計画および方針

6.ENEA加盟問題について

 (原子力委員会は38年7月3日,ENEA加盟問題について次のとおり決定した。
 本委員会は,わが国のOECD(経済協力開発機構)加盟に関連して,OECDの下部組織であるENEA(欧州原子力機関)への加盟問題について,次のとおり考える。
(1)わが国がOECDに加盟して,先進工業諸国との協力関係を促進しようとしている方針に鑑み,原子力の分野においてもこれら諸国との関係を緊密にすることが望ましい。しかし,わが国は欧州諸国とは地理的に離れており,かつ,米・加両国も協力国であることを勘案し,当面協力国(associated country)として,ENEAの事業に協力し,必要があれば,その共同事業に参加するのが適当である。
(2)原子力関係のOECD理事会決定に対するわが国の態度は,別表に示すとおりとするのが適当である。

(参考)ENEA協力国の義務と利益〔ENEA設立の理事会決定より引用〕

(1)共同事業への参加が可能
(第5条)ENEAは現在,①使用済燃料の再処理工場ユーロケミック,②沸騰重水炉の共同研究(ハルデン計画),③高温ガス冷却炉の共同研究(ドラゴン計画)の3共同事業を行なっているが,これら共同事業および今後ENEAが創設する共同事業には協力国も参加できる。
 これらの活動を通じて情報の入手その他便益が得られる。

(2)情報交換の推進
(第9条)ENEAは,参加国および協力国間で,ENEAの目的に関係のある科学技術情報の交換を推進することになっており,わが国も協力国として参加した場合,これら情報を入手できる。

(3)運営委員会へのオブザーバーの出席
(第12条)ENEAの執行機関である運営委員会は,参加国だけで構成されており,協力国はオブザーバーとして出席が許されている。したがって,ENEAの企画決定に加わることはできないが,審議,実施の状況を知ることはできる。

(4)費用の分担
(第17条)ENEAの参加国は,ENEAの活動に関する費用の分担を必要とするが,協力国には,その必要はない。ただ,共同事業に参加する場合には,その事業に関する費用の分担を必要とする。

(5)協力国の義務
 ENEAの協力国であるために義務を負うことはない。ただし,OECD の参加国となり,理事会の決定,勧告のための表決に際して,賛成すれば他に別段の規定のある場合を除き,決定については拘束をうけることになる。


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