第6章 放射能対策
§1 放射能調査に関する国際会議

(1)国際連合科学委員会

 第13回国連科学委員会は,36年の核爆発実験再開以降における放射性降下物の影響等について,国連総会に提出する報告書を作成するため,39年2月ジュネープの国連欧州本部において,米国,英国,フランス,ソ連等15箇国の代表に,国際原子力機関,世界保健機構等5つの国連関係機関および国際放射線防護委員会等のオブザーバーを加えて開催された。
 会議では,各国代表がもちよった最近の放射性降下物に関するデータについて,医学的および物理的見地より討議され,一応の結論に到達したが,なお細部について検討を必要とするので,39年6月開催予定の第14回科学委員会でひきつづき検討を行ない,その結果を国連総会に報告することになっている。

(2)日米科学者会議

 37年米国が中部太平洋のクリスマス島およびジョンストン島周辺で行なった核爆発実験による放射能汚染の調査のため,放射能対策本部が派遣した照洋丸(農林省水産庁調査船)および米国が派遣したギルバート号の調査結果を交換,検討するため,38年9月東京において日米科学者会議が開催された。
 会議は,37年8月照洋丸調査団がホノルルにおいて米国側科学者グループと会合した際,近い将来,調査結果をもちよって再会したい旨話し合ったところから開催となったものである。当時収集した雨水,塵,海水,魚類,プランクトン等の放射能について調査の結果得られた情報を相互に比較,検討した。
 その結果,双方の分析結果はよく一致し,多くの試料は放射能が検出できないか,またはかろうじて検出できる程度であって,一般に放射能レベルが低かったことが確認された,


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