第5章 放射線安全
§3 核燃料物質および放射性同位元素等の使用にともなう放射線安全

 核燃料物質(天然ウランの場合300グラム以上)を使用しようとする者は,原子炉規制法により内閣総理大臣の許可を受けなければならない。同物質の使用は,原子炉の設置,燃料技術の開発にともない年々増加し,その使用事業所数は38年度末で,63箇所となった。
 これらの核燃料物質の使用施設等については,同物質の安全な取扱を確保するため,使用状況等について原子炉規制法により立入検査を行なっており,38年度には30事業所を検査した。その結果,とくに異常の事業所は認められなかった。
 一方,1グラム以上のプルトニウムおよび100キュリー以上の使用済燃料の使用施設等については,原子炉規制法にもとづいて施設検査をうけ,さらに保安規定を定め,この認可をうけた後でなければこれを使用することができない。この種の施設のうち,100キュリ一以上の使用済燃料を使用する施設としては,38年度末で2件が許可されている。
 放射性同位元素または放射線発生装置を使用しようとする者ならびに放射性同位元素を業として販売または廃棄しようとする者は,障害防止法にもとづいて科学技術庁長官の許可をうけなければならない。(ただし,総量が0.1キュリー以下の密封放射性同位元素を使用する場合には届出ればよいことになっている。)放射性同位元素等の利用は,医学,工業,農業等多岐多様にわたり使用事業所数は年々約15%の増加を示して38年度末で,1110箇所になっている。
 この内,許可事業所は792事業所で届出事業所は318事業所である。
 従来,これら放射性同位元素等の使用事業所の管理状況は,産業部門,とくに民間大企業の付属研究所はおおむね良好であるが,主として小線源を使用する医療機関,大学,国公立の研究機関には不十分な点がみられた。
 従って,38年度にはこれら不十分な事業所を対象に立入検査が行なわれ,施設等の整備に努めた。
 立入検査した事業所は医療機関114,教育機関56,研究機関49,産業部門87,その他9,計315となっている。これら事業所における立入検査の結果,医療機関等におけるラジウム等小線源の管理状況に不十分な点がみられた。


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