第2章 原子炉の開発
§6 研究炉および臨界実験装置

 38年度末までに合計8基の研究炉が臨界に達しており,2基の研究炉が同年度末において建設中であり,そのほか1基の設置が許可されている。
 したがって,研究炉の基数は設置が許可されているものを含めて合計11基である。
 臨界実験装置については,38年度末までに臨界に達したものは5基であり,建設中のものは1基で合計6基である。
 研究炉の設置許可の状況を(第2-1表)に示す。

(1)研究炉

 第1号研究炉である原研のJRR-1は,37年度にひきつづき定常運転を行ない教育訓練,ラジオアイソトープ生産および簡易な照射実験に用いられている。
 原研のJRR-2は,38年度初めから熱出方5000キロワットで所内外の共同利用を開始し,各種の照射実験のために供されている。
 国産1号炉である原研のJRR-3は,37年9月臨界に達し,その後,本炉を利用する場合の基礎データを得るとともに,設計データとの照合を行なうために,低出力で特性測定を続けてきた。38年9月から39年3月まで1000キロワットまでの出力上昇試験を行ない,39年3月末には1万キロワットの短時間試験運転を行なった。今後は高出力における特性測定および1万キロワットの連続試験を行なう予定である。
 遮蔽実験を目的とした原研のJRR-4の建設は,順調に進んでいる。
 38年9月に建屋が完成し,電気,給排水,空調等の付帯工事も39年2月に完成した。現在,原子炉本体設備工事を進めており,39年度に臨界に達する予定である。
 京都大学研究炉は,研究と教育訓練を目的とし,全国の大学関係者の共同利用に供するため,京都大学により大阪府泉南郡熊取町に建設されてきたが,39年6月臨界に達した。
 このほか,立教大学研究炉,近畿大学研究炉,五島育英会研究炉,日立研究炉および東芝研究炉は,37年度にひきつづき,研究,教育訓練のために利用されている。
 なお,三菱電機研究炉は,茨城県那珂郡東海村に設置することが許可されている。

(2)臨界実験装置

 臨界実験装置による研究については,原研において軽水臨界実験装置,水均質臨界実験装置および半均質臨界実験装置による炉物理の研究が行なわれているほか,株式会社日立製作所において同社の濃縮ウラン軽水臨界実験装置を用いた研究が行なわれている。 一方,日本原子力事業株式会社の濃縮ウラン軽水臨界実験装置は,38年12月に臨界に達した。また住友原子力工業株式会社の濃縮ウラン軽水臨界実験装置は,38年4月に設置が許可され,現在,建設中である。


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