第2章 原子炉の開発
§2 動力試験炉

 原研の動力試験炉(JPDR出力1万2500キロワット)は,動力炉に関する実際の経験を得ること,燃料などの国産部品の諸試験を行なって軽水型動力炉の国産化に貢献させることおよび船用炉への応用研究を行なうことなどを目的としたものである。同炉についての建設契約は,35年9月原研とジェネラルエレクトリックジャパン社(GEJ)との間で結ばれた。
 38年には機器および系統の運転前試験が逐次行なわれ,8月22日に燃料装荷が開始され,同日炉は臨界に達した。
 その後,ひきつづき零出力での特性試験および出力上昇試験を行ない,10月26日出力2000キロワットでわが国最初の原子力発電に成功した。これは,わが国における原子力の平和利用開発史上,画期的な意義を有するものである。
 しかるに,10月29日原研における労働不安を理由として,GEJから運転中止の申入れがあり,運転は一時中止のやむなきにいたったが,11月20日から再開された。
 その後の出力上昇試験は順調に進捗し,最終試験は,12月5日から開始,12月9日に終了し,同日,JPDRはGEJから原研に正式にひき渡された。


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