第2章 原子炉の開発
§1 原子力発電所

1.日本原子力発電株式会社東海発電所の建設状況

1.日本原子力発電株式会社東海発電所の建設状況

 わが国最初の商業規模原子力発電所は,日本原子力発電(株)により,茨城県東海村の日本原子力研究所隣接地で建設がすすめられている。この発電所に使われる動力炉は,英国から導入したコールダーホール改良型原子炉で,出力16万6000キロワットである。
 その建設工事は,主請負工事者である英国ジェネラルエレクトリック社(GEC)が行なう工事と,日本原子力発電(株)が行なう直営工事に分かれている。
 GECは,その下請会社である第一原子力グループ各社と協力して工事をすすめており,原子炉建屋は,昭和38年11月に完成した。
 原子炉圧力容器については,38年6月に容器全体の焼鈍が行なわれ,その後,容器内部の清浄およびスダンドパイプの溶接作業が行なわれた。これにひきつづき,39年1月に容器全体の圧力試験が行なわれ,今後は,39年4月から黒鉛積みの作業を行ない,9月中旬から原子炉1次回路の試験を行なったのち,12月から燃料を装荷する予定である。
 熱交換器については,38年4月までに圧力容器の水圧試験を終了し,その後ひきつづいて汽管,水管の取付が行なわれ,熱交換器およびガス循環機とも据付けが終わるのは39年7月の予定である。
 主ガスダクトは,黒鉛積込用のホットダクトの一部を残して,据付工事を完了した。
 燃料取換機については,これをのせるトランスポーターの組立を38年7月から開始し39年2月に終了したので,燃料取換機の組立を39年3月から開始した。
 一方直営工事については,復水器冷却用水路工事および発電所本館工事を中心として工事が進められ,原子炉建屋周辺の諸工事も開始された。
 復水器冷却用水路工事については,37年6月,2本の取水鋼管の海底沈設工事の完成にひきつづき,取水口の取付け,沈砂池,導水路,ポンプ室等の工事が行なわれ,これらの工事は38年12月に完了した。
 発電所本館工事も同年12月に完了した。
 使用済燃料貯蔵用クーリングポンド工事は,39年11月末までにはほとんどの工事を終わる予定である。
 屋外開閉所工事は,38年11月から基礎掘削を開始し,39年3月には鉄構組立を完了した。一方,主要変圧器類の据付も順調に進み,39年8月に完了する予定である。その他放射性廃液処理施設,汚染除去施設,燃料倉庫等の建設工事および2次系統の配管工事も着々とすすめられている。
 なお,燃料関係については,38年7月ロンドンにおいて日本原子力発電(株)と英国原子力公社との間で燃料購入契約が締結された。この契約にもとづいて,天然ウラン燃料初期装荷分および予備量が39年6月以降逐次東海村に到着しており,10月には一応全量が到着する予定である。その後試運転を経て40年上半期には本格的営業運転に入る予定である。

2.その他の原子力発電所建設計画

 日本原子力発電(株)は,37年11月福井県敦賀半島東北端を第2発電所の建設予定地に定め,38年5月その事業計画の概要を決定した。その後,用地の取得,現地調査,その他発電所発注に必要な準備調査等をすすめている。
 用地については,38年9月に発電所敷地として約140万平方メートルの土地買収を終わり,さらに同年12月には非居住区域として隣接地約4万平方メートルの地役権設定も完了した。
 現地調査としては,発電所の基本設計に必要な基礎的事項に関する種々の調査が行なわれてきた。すなわち,38年3月から各施設の配置などの基本設計に必要な地質構造などを試錐および物理探査によって調査した。また,38年8月から原子炉設置予定地付近において地震観測および気象観測などを続けている。
 プラント発注準備としては,第2発電所の仕様を固めるための調査検討が行なわれている。すなわち,38年5月米国ウエスチングハウス社およびジェネラルエレクトリック社に対し,資料の提出を要請した。ついで,39年4月から両社が提出した仮見積仕様書にもとづいての検討を始めている。
 その他,発電3号炉以降については,東京,関西および中部の3電力会社が44〜45年度完成を目途として,30万キロワット前後の原子力発電所を建設するために必要な準備を着々とすすめている。すなわち,東京電力(株)は福島県双葉郡大熊町,関西電力(株)は福井県三方郡美浜町をそれぞれ建設候補地として,用地の取得,立地調査および炉の技術的検討などを行なっている。中部電力(株)は現在建設地を選考中である。((付録V-2表)参照)


目次へ          第2章 第2節へ