第1章 総論
§2 わが国の原子力開発の概況

 最近,海外諸国は原子力発電所の建設,原子力船の開発,放射線の利用等に積極的な意欲を示し,これにともなって国際協力も一段と活発な動きを示しつつある。
 このような世界の流れの中にあって,わが国は,先進諸国からの遅れを取りもどすため,外国技術の吸収と研究施設の整備に努めてきた。その結果,38年度には日本原子力研究所をはじめとする関係機関の施設の整備も一応終わり,初期段階において必要な開発体制がほぼ整い,新たな発展段階への転機にさしかかるにいたった。すなわち,今後はこれらの研究施設を利用して,実用炉の国産化の研究をすすめる一方,国産動力炉および将来の目標である高速増殖炉の研究開発など,わが国独自の技術を開発し,具体的な成果をあげるべき段階に移りつつある。
 このような観点から以下経緯を回顧しつつ事項別に述べることとする。


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