II 原子力委員会の計画および方針

6.原子力の平和利用について

(原子力委員会は37年6月6日,原子力平和利用についての委員長の談話を次のように発表した。)
 最近,原子力発電コストの低下を図るためプルトニウムを爆弾の製造に利用することも考えられようとの意見を有力産業人が述べたと一部新聞紙上に報ぜられたが,わが国の原子力の研究,開発及び利用が平和の目的に限られるとする原子力基本法第2条の規定からみて,これが発言者の真意とは考えられない。原子力委員会は核燃料経済の見地から使用済燃料から生ずるプルトニウムを再び燃料として使用する研究がきわめて重要な意義を有することを考慮し,今後,原子力発電コストの低下のためにも,一層その研究の促進を図る所存であるが,このような報道が一般にプルトニウムの研究は直ちに非平和的目的をもつものであるかのごとき誤解を招くことを憂い,あえてわが国における原子力の研究開発は厳密に平和的目的に限られるものであることを明かにする次第である。


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