第9章 科学技術者の養成および原子力知識普及活動

§3 国内における養成

1.日本原子力研究所

 日本原子力研究所は原子炉研修所とラジオアイソトープ研修所において養成訓練をおこなっている。
 (i) 原子炉研修所
 原子炉研修所の,養成訓練としては,高級課程,一般課程およびJRR-1を用いた原子炉の短期運転訓練がある。
 高級課程は,原子力関係の教職員や研究機関および原子力産業の中堅となる者について,原子力に関する高度の知識,技術を修得させることを目的としている。この課程は,大学の理工系学科を卒業後,5年以上の研究経験をもった技術者を対象とし,1回の定員は15名で,期間は1箇年である。34年4月に,第1回課程をはじめて以来,38年3月まで,5回の研修を行ない,33名を養成した。
 一般課程は,原子力関係の一般知識を習得させることを目的としており大学の理工学系学科を卒業後,2年以上経たものを対象として期間は6箇月である。35年3月に開講して以来,6回行ない,合計135名を養成した,
 JRR-1を用いた原子炉の短期運転訓練は,33年9月から行なってきたが,36年9月から,対象を大学院修士課程学生に限り,期間も9日間から2週間に改められた。37年には10月に1回行ない,11名が研修を受けた。これにより,改正前の研修生を合せて,217名が研修を受けた。これら原子炉研修所における研修の状況は,(第9-2表)に示すとおりである。

 (ii) ラジオアイソトープ研修所
 ラジオアイソトープ研修所は,ラジオアイソトープ取扱技術者の訓練のため,33年に基礎課程が開設され,36年に高級課程が開設された。
 基礎課程は定員32名で,期間は4週間である。資格の制限はないが,大学初級程度の物理,化学等を理解しうる必要があり,受講者は,書類選考によって決定されている。37年度は,国際原子力機関の課程を含めて7回行なわれ,33年の第1回以来,37回行なった,これにより外国人112名を含む1,166名が訓練を受けた。各専攻別による各年度の訓練生の推移は(第9-3表)に示すとおりである。外国人の国別分類は,(第9-4表)に示すとおりであり,ほとんど全部が東南アジアからの研修生である。

第9-3表 (a) ラジオアイソトープ研修所基礎課程

第9-3表 (b) ラジオアイソトープ研修所高級課程

第9-4表 ラジオアイソトープ研修所

 高級課程は,工学系,化学系,生物系各5名,計15名の定員で,期間は8週間である。資格は,基礎課程を修了またはそれと同等以上の知識経験を有する者で,37年度は3回行なわれ,外国人2名を含む22名が研修を受け,第1回から第7回までの総研修生は,外国人を含めて59名となった。37年度までの研修生の専攻別内訳は,(第9-3表b)に示すとおりである。また,その機関別の内訳は(第9-2図)に示すとおりであるが,基礎課程,高級課程ともに国公立機関が約半数を占めている。

 以上のようにラジオアイソトープ研修所では,外国人留学生の受け入れも積極的に行なっており,国際アイソトープ技術訓練センターのような役割も果たしている。一方,国内研修生の半数近くは,第1種放射線取扱主任者試験に合格し,その成果は大きく評価されている。


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