第8章 国際協力

§5 科学会議の開催およびこれへの参加ならびに科学技術者の交流

 原子力の研究開発は,一国内のみならず国際的な情報交換および科学技術者の交流等により一層促進されることが 期待される。37年度は,わが国においても,国際交流への積極的な動きがみられた。まず目をひくのは,前述のアジ ア・太平洋原子力会議をはじめとして,日仏原子力技術会議,日英原子動力シンポジウムおよび国際原子力機関主 催による水理学におけるラジオアイソトープの利用に関するシンポジウムの諸会議が,わが国において開催された ことである。
 日仏原子力技術会議は,37年11月東京において日本原子力産業会議および仏原子力技術会議の主催により開催された。これは,フランスにおける原子力の研究開発の成果を紹介し,あわせてこの分野における日仏両国の技術交流をはかることを目的としたもので,延べ835名が出席して,活発な討議がかわされた。
 日英原子動力シンポジウムは,38年3月に日本原子力産業会議および英国原子力公社の主催で開かれ,延べ1,043名が参加した。このシンポジウムにおいては,英国型発電炉に関して,英国側から14篇の論文が,日本側から3篇の論文が発表された。
 国際原子力機関主催の水理学におけるラジオアイソトープの利用に関するシンポジウムは,38年3月5日から9日まで東京において開催された。
 このシンポジウムは,ラジオアイソトープを利用することにより,水資源の研究開発を促進することを目的とするもので,15箇国,5国際機関から88名が出席し,17篇の論文(日本側8篇,外国側9篇)が発表された。国際原子力機関主催のシンポジウムがわが国において開催されたのは,これがはじめてであり,わが国は開催国として,このシンポジウムに積極的に協力した。
 原子力の研究開発を促進するため,37年度も人的交流が活発に行なわれた。
 国際原子力機関は,国際的な情報交換および技術者交流の母体として活動しているが,わが国において開催された水理学におけるラジオアイソトープの利用に関するシンポジウムのほか,10のシンポジウムおよび2つのセミナーが,37年度において開催された。
 また,国際原子力機関は,アジア諸国の研究炉の有効利用をはかるため,研究炉の利用に関するアジア地域研究グループ会議を,37年12月タイのバンコックにおいて開催した。わが国は,これらの会議に積極的に参加し,とくに,バンコックで開催されたグループ会議には,7名の参加者を送り,そのうち2名は,司会者として会議運営に貢献した。
 かねてから計画されていた日本・西ドイツ両国間の技術者の交流計画もいよいよ実現の運びとなり,わが国から日本原子力研究所および放射線医学総合研究所から各1名が西ドイツに派遣された。これに対して,西ドイツからは,2名の技術者が,わが国に派遣される予定である。
 36年11月ユーラトムのヒルシュ委員長一行が来日し,わが国とユーラトムとの間の協力関係を結ぶ端緒をひらいたが,37年11月には石川,駒形両原子力委員が,ユーラトムを公式に訪問した。この間サッセン委員等と今後の協力に資するため,わが国およびユーラトムの現状,将来の計画について意見を交換した。
 原子力関係者の来日よ,近年ますます活発となり,37年度も多数にのぼった。その主なものは付録IV-13に示すとおりである。
 一方,わが国からも,欧米諸国の原子力開発の状況を調査するため,付録IV-14に示すとおりの調査団が派遣された。


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