第8章 国際協力
§1 国際原子力機関の活動

2.理事会

 国際原子力機関の理事会は,37年6月,10月,12月および38年2月に,それぞれ開催された,討議された議題のうち,とくにわが国に関係のあるものはつぎのとおりである。

① 国際的地域ラジオアイソトープ・トレーニングセンター
 国際的地域ラジオアイソトープ・トレーニングセンターのわが国における設置については,1961年の第5回総会において,わが国三木代表がこれに関する提案を行ない,これを国際原子力機関の援助により実現するため,国際原子力機関事務局および関係諸国と協議を重ねてきた。これは,37年6月理事会においては,審議されたが決定にいたらず,さらに継続審議とすることとなった。
 そのため,わが国としては,さしあたり,本センターが設立されるまでの間,国内の既存施設を利用して国際原子力機関を通じ,国連技術援助拡大計画(EPTA)基金の援助により,本センターと同じ目的のラジオアイソトープ・トレーニングコースを開催するための準備をすすめている。
 国連技術援助拡大計画基金からの援助は,国連経済社会理事会で1963年度および1964年度に総額3万1,100ドルの援助が検討されている。

② 国際原子力機関の保障措置規則の拡大
 国際原子力機関の保障措置規則は,現在100メガワット未満の原子炉をその主な対象としているが,これを100メガワット以上の原子炉にも拡大することが,2月理事会において検討された。
 理事会は1960年1月に現行の保障措置規則作成のため,組織された特別作業委員会(通称委員長の名をとってランダース委員会と呼ばれている。)を再組織し,本問題について検討させることとなった。
 38年2月理事会においては,そのほか第6回総会において審議された国際理論物理センターの設立問題,国際原子力機関の財政問題等が検討されたが,いずれも結論をえなかった。


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