第8章 国際協力
§1 国際原子力機関の活動

1.第6回総会

 1962年の国際原子力機関第6回総会は,10月ウィーンにおいて開催された。本総会において,サウジアラビアの加盟が承認されたほか*,討議された主な議題は,つぎのとおりである。

① 国際原子力機関憲章第14条の改正問題
 国際原子力機関の事業費を,加盟国に分担金として割り当てるよう,同憲章第14条を改正しようとする案が,英国から提出されたが,今後,加盟各国の意見を検討し,第7回総会にその結果を報告するよう理事会に要請することとなった。

② 第3回原子力の平和利用に関する国際会議の開催
 原子力の平和利用に関する国際会議は,1955年および1958年にジュネーブにおいて,国際連合の主催により開催されたが,第3回の会議は国際連合の主催により,1964年にジュネーブにおいて,開催されるとの確信のもとに,事務局長は,会議開催に関し,国際連合に協力することとなった。

③ 低開発国に対する技術援助計画に関する問題
 ソ連代表は一般演説において,低開発国に対する技術援助計画に関する具体的提案を行なった。
 さらに,ソ連圏諸国は,本計画実施のために必要な費用の3分の1をソ連圏諸国*が負担するという趣旨の共同決議案を事業計画委員会に提出した。本総会では,この提案を含め,低開発国に対する技術援助計画の詳細が決定しだい,国際原子力機関が現在作成中の長期計画に組み入れるよう理事会および事務局長に要請することとなった。


* ブルガリア,白ロシア,チェツコスロバキア,ハンガリー,ポーランド,ルーマニア,ウクライナおよびソ連

④ 1963年度の事業計画および予算
 1963年度の予算が付録第IV-10表に示すとおり決定された。それによると予算額は,年々漸増しているが,前年度と比較して,経常予算は,626万ドルから734万ドルヘ,事業予算は,210万ドルから222万ドルへと増加した。このうち,わが国は,経常予算について約14万4000ドル,事業予算については2万8000ドルを拠出することとなった。

⑤ 理事国の改選
 総会選出の理事国は10箇国で,任期は2年となっており,毎年5箇国ずつ改選されるが,本総会においては,イラン,インドネシア,イタリア,メキシコおよびブラジルの5箇国が選出され,理事会の地域別構成は,(第8-1表)に示すとおりとなった。

 なお,第5回総会において,加盟国数に比して理事国数の少ないラテンアメリカ地域ならびにアフリカおよび中東地域の理事国数を増加させるよう憲章の一部を改正することが承認された。この改正は38年1月発効した。
 その結果,1963年以降の総会選出の理事国は,10箇国から13箇国に増加し,このなかにラテンアメリカ地域からの3箇国,アフリカおよび中東地域から3箇国が必ず含められることとなった。


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