第5章 放射線の利用
§2 アイソトープ利用

1.工業利用

 アイソトープ工業利用の現状を把握するため,37年度に,アイソトープ工業利用の実態調査が行なわれた。
 この調査は,工業界においてアイソトープ利用を研究しているもの,すでに利用しているもの,および利用の可能性のあるもの360社を対象として行なわれた。このうち,すでに利用している事業所数は,318箇所(会社数では202社)で,これは工業界でアイソトープの使用を許可されている事業所数363箇所の88%にあたる。
 アイソトープ使用事業所数・業種別内訳は,(第5-2表)に示すとおりで電気機械業,鉄鋼業,化学工業の順になっている。

 アイソトープ使用事業所数は,巨大企業においても1社当り,l〜2という場合が圧倒的に多く,この限りにおいて,アイソトープは,工業的には,まだ試用段階を脱していないといえる。

 アイソトープの用途別使用会社数は,(第5-3表)に示すとおり,ゲージング利用が圧倒的に多く,202社の約半数が実施している。ついで,ラジオグラフィー,トレーサー利用,放射線化学の順になっている。
 業種別にその用途をみると,紙・パルプ製造業,電力業においては,ゲージングが,また,鉄鋼業,機械製造業などでは,ラジオグラフィーのウエイトが高い。


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