第4章 核燃料・材料および機器
§1 核燃料

8.再処理

 燃料再処理技術の開発については,日本原子力研究所において燃料の燃焼度決定を目的とした放射化学分析法,プルトニウムの直接分離の可能性を検討するための基礎研究,フッ化物分離法および高温冶金法に関する基礎研究など,かなり広範囲にわたり研究がすすめられてきた。また,日本原子力研究所と原子燃料公社が共同してパルスカラム方式による再処理の工学的研究を35年からすすめてきた。37年度においては,モックアップ施設による天然ウランの溶解試験を完結する一方,照射済燃料を使用して一連の処理試験のできるホットケーブの建設をすすめている。また,モックアップ施設がホットケーブヘ移設され,38年6月頃完成する。施設完成後には,コールド試験を行ない,ひきつづいて,39年末からホットテストを行なった後,JRR-3の使用済燃料の一部を処理して試験を行なう。その結果抽出されるプルトニウムは,試験研究に利用される予定である。
 このホットケーブ施設は,パルスカラム方式を採用したものであるが,両機関は共同研究の一環として,37年度に,ミキサー・セトラー方式の基礎試験装置の設置に着手した。近く完成の見込みであるが,完成後には,アイソトープおよびプルトニウムを添加した天然ウランの処理試験を行なう。
 一方,再処理工場の建設については,43年頃操業開始を目途として,天然ウランおよび低濃縮ウランの使用済燃料0.7トン/日処理規模の工場の設計に着手することとなった。37年度においては,その予備設計を海外に委託するための準備をすすめ,38年4月,英国のNuclear Chemical Plant社を主契約者として,予備設計を行なうことになった,また,38年度中には予備設計につづいて,詳細設計について契約を行なう予定である。


目次へ          第4章 第2節(1)へ