第4章 核燃料・材料および機器
§1 核燃料

7.プルトニウム

 今後,かなりの規模で原子力発電が行なわれようとしているわが国にとって,プルトニウムの利用は大きな課題である。プルトニウムについては,従来,燃料の供給国による買戻しに期待する考え方がとられていたけれども,国内での経済的利用が本格的にとり上げられるべき段階にきている。このような情勢のもとに37年9月原子力委員会は,プルトニウム利用の具体的指針をうるため米国にプルトニウム調査団を派遣した。さらに,38年4月原子力委員会は,プルトニウム専門部会を設置し,熱中性子転換炉および高速増殖炉の燃料としての利用およびそのための研究開発の実施方法について審議させることとした。また,プルトニウム技術習得のため米国に技術者2名を長期派遣することとなった,プルトニウム利用のための研究については,日本原子力研究所と原子燃料公社との共同プロジエクトとして,推進されることになっている。
 日本原子力研究所は基礎研究施設として,プルトニウム特別研究室の整備を36年度から着手し,一部,化学分析用設備を37年秋に完成した。37年末には,米国からプルトニウム4.3グラムを輸入し,予備実験が開始された。38年中頃には,冶金,分析等の研究施設が完成し,この施設を利用してPu-Al合金について,取扱い技術に習熟した後,ひきつづいて酸化物粉末を使用した研究が開始される。
 原子燃料公社は,燃料試作試験まで可能な燃料加工技術開発施設について,37年度には,米国NUMEC社に設計を依頼し,38年度から建設に着手して,40年中には完成の見込みである。


目次へ          第4章 第1節(8)へ