第4章 核燃料・材料および機器
§1 核燃料

4.燃料加工

 (i) 金属ウラン燃料
 JRR-3などの研究炉や臨界実験装置等に用いられる金属ウラン燃料の加工が,主として民間企業で行なわれている。金属ウラン燃料の基礎的研究としては,日本原子力研究所において,U-Mo,U-Fe等の高温用金属燃料について冶金的研究が行なわれている。また,燃料損傷とくに金属ウランの酸化による核分裂生成ガスの放出についても研究がすすめられている。
 中性子照射を受けた場合のしわ変形防止のため,熱処理と他元素添加による結晶の微細化については,日本原子力研究所および民間企業で研究されている。
 一方,燃料の検査技術の開発は,原子燃料公社を中心としてすすめられている。37年度までは主としてJRR-3の燃料について,非破壊検査法による結晶粒度や異方性の測定およびクリープ試験等が実施された,

 (ii) セラミック燃料
 二酸化ウランを中心に,粒末の粒形,粒度の調整法および焼結法によるペレットの製造が,主として民間企業によって実施されてきた。濃縮ウランの焼結ペレットを加工した燃料が,日立研究炉にすでに使用されており,また,日本原子力事業(株)の臨界実験装置の燃料および近く建設される三菱研究炉の1次装荷燃料に使用されることになっている。その他スエージング法による燃料製造法も研究されてきた。また,振動充填法については,民間企業で,個々に開発を行なってきたが,37年9月には振動充填研究打合せ会が,研究機関の間で自主的に設けられ,協調して研究がすすめられている。さらにウランカーバイドが,燃料体として注目されている。しかし,これは化学的に不安定なのでその点の改良と燃料加工法についての研究が行なわれている。また,最近,窒化ウラン等の他のセラミック燃料についても基礎研究が開始されている。そして,この分野におけるわが国の研究は,相当の水準に達しており,日米研究協力を通じて相互に情報交換を行なうこととなった。


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