第4章 核燃料・材料および機器
§1 核燃料

3.ウランの製錬

 原子燃料公社は,33年以来,東海製錬所で粗製錬の中間規模試験施設を設け,試験をすすめてきた。
 これまでに,わが国で発見されているウラン鉱石は,外国のそれに比べ品位も低く,また鉱量も少ないので,これに適した処理技術を開発しておくことが必要である。このため原子燃料公社では,粗製錬,精製錬を直結させて,工程を簡素化することにより経済性を向上させる,いわゆる一貫製錬法の完成に努力を傾け,試験規模ながら成功をみるにいたった。そこで,採鉱ならびに洗鉱技術と密接な関連のもとに,一貫製錬法の完成をはかるため,38年度から,人形峠鉱山に試験製錬所を建設することになった。
 一方,古河電工(株)では政府の補助をうけ,ソーダ浸出法による一貫製錬法についての試験が実施されている。
 粗製錬の産物であるウラン精鉱から金属ウランを製造する精製錬については,民間企業および原子燃料公社で,中間規模試験がすすめられてきた。
 原子燃料公社は,34年以来,精製錬工業化試験工場を運転し,技術の習熟,装置の試作改造につとめてきた。37年度後期には,長期連続運転試験を実施し,試験をほぼ終了した。37年度には,ウラン地金約16トンが生産され,JRR-3の2次装荷燃料をはじめ,日本原子力研究所の軽水型指数関数実験装置等,各種試験用に供された。
 また,民間企業においても,独自の技術,あるいは導入技術により,年間数十トンの規模の製錬施設を持ち,その製品は,東京大学,京都大学の臨界未満実験装置用等に利用されている。


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